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2013年5月

2013年5月28日(火)〜6月2日(日)

僕らの持っている「声」はメディアだ。


声が発する内容のことではない。

その響きがメディアとして機能する

「わー」とか「ぎゃ」とか、「うぇ」とか、

意味として認められないような、文字にもできないようなその響きが、

時として「意味」以上に、僕らの身体に深く浸透してしまうことがある。



昨年、福島(といってもいわき市のしかも限られた地域だ)で、

いろいろな人に話を聞いたときに、

聞きたかったのは、多分その響きだった。

それさえ聞くことができれば、もしかしたら「震災」についてなど、

聞けなくてもよかったのかもしれない。

その響きに、そしてその響きが聞き手の身体に浸透していくことに、僕は希望を感じる。



時間を経て残るのは文字に変換できる「意味」であり、

響きはすぐに空気に溶けて消えてしまう。

けれども、僕は声のその響きの中に、

「未来」のようなものを見出したいと思う。

今回、福島で得た言葉を使うだろう。
けれども、舞台上に響くのは、
福島も東京も関係のない、僕らについての「声」だ。

2013年5月22日(水)〜5月26日(日)

ヴィレヴァン的、音楽劇。
アイドルグループや音楽ユニットの振付を手掛けたり、映像をふんだんに取り入れた創作をしたりと、常にポップなカルチャーに寄って活動してきた木皮成の最新作。寺山修司作『踊りたいけど踊れない』の主人公・ミズエの「思いに反して体が動きだす」症状に注目し、木皮自身によるソロパフォーマンスと、約10人の役者・ダンサーによるパフォーマンスの2作品を制作します。
劇中では、いわゆるポップカルチャーやサブカルチャーに分類されるタイプの音楽を使用。映像、言葉、そして身体によって、多様な趣味嗜好の集まった情報量の多い空間を仕立て上げます。


2013年5月18日(土)〜19日(日)

"「おじいちゃんのために、お芝居をやっていただきます」
 売れっ子作家のお願いに翻弄される人達の"幸せな"時間。
 果たして、舞台は無事に幕を開けるのか?"

2010年に上演した同作品のリメイク版、D.M.C.としては劇団旗揚げ以来初の再演作品になります。
再演作品ながら、キャストも総入れ替えとなっていますので、ひと味もふた味も違った作品になっていると思います。


2013年5月4日(土・祝)〜15日(水)

僕は、あくまで僕が行う演劇において、社会や未来や観客や人類に対しての「問い」を持つべきだという考えに取り憑かれて創作をしています。
年齢や出身地なんか関係ない。運命や希望や絶望などとも関係ない。
僕だけのオリジナルな、完全無欠かつ純粋無垢で邪悪で妖艶で現実的で蠱惑的で幻想的で残酷な「問い」を持つこと。
かといってそれはさも「問い」らしくあらないこと。
「問い」ぶらないこと。
「問い」を生み出そうとか、そういう浅ましい気を揉まないこと。
「問い」を生み出すための計算をしないこと。
あくまで「問い」とは偶然出会うこと。

↑こういうことに僕はこだわります。こうした緊張感の中でのみ活きた「問い」は生まれるし、それが、僕と、僕の周辺と、その先の場所、つまり演劇に、必要なことだと思っているからです。

加えて今作は、生物と無生物について、その感情の行方と想像力の行方を探る、群像冒険現代劇の側面も持っています。

山本卓卓