ラボ20 #20-restart- 開催致します!
あらゆる先入見を捨てて<生成する無垢の出来事>に立ち会いたいと思います
キュレータ:室伏鴻
photo by Ichiro Matsuo
「Dancer / Danger」
危ういのが好き、縁にキワドくさらされたカラダが好き。脆さとメタモルフォーズの、ふるえる境界で闘っているヒトが好き。そして他へと接続する野蛮で繊細な意志の、断面が好き。抵抗と惑乱。奇妙な、滑稽で悲惨なエレガンス。とは言いつつ、あらゆる先入見を捨てて<生成する無垢の出来事>に立ち会いたいと思います。ワンダー、それが(ダンスの)幸運です。共感するダンスの思考を引いておきます。
「・・・すべてが出来事であれ、と念じる意志によってしか、ダンスが出現する可能性はない。ダンスは故に、意味を捉える目には見えない。ダンスへ向かう意志、すなわち見えぬものに向かう意志は、観客がもつもう一つの欲求である意味理解への欲求を常にすり抜け突き進まなければならない。」(S.K.)
室伏鴻 [STスポット・ラボ、キュレーションのために]
【プロフィール】室伏鴻(むろぶし こう)
69年土方巽に師事、72年「大駱駝艦」の旗揚げに参加。76年舞踏派「背火」を主宰。舞踏新聞「激しい季節」を編集・刊行、「アリアドーネの會」をプロデュース。78年パリで「最期の楽園--彼方の門」を1ヶ月ロングラン公演し、舞踏が世界のBUTOHとして認知されるきっかけとなる。2000年神楽坂die pratzeで「Edge」、01年世田谷シアタートラムにてメキシコ国 立芸術院との共同制作「Edge 01」。以後「Edge」シリーズでヨーロッパ・南米を中心に、意欲的に活動を続ける。03年、若手メンバーを率いた新ユニットKo&Edge Co.で『美貌の青空』(JADE2003土方メモリア ル)、新しい舞踏を切り拓く作品として多くの批評家から絶賛を浴びる。06年6月新作 ソロ「quick silver」。6月下旬ヴェネチア・ビエンナーレ−ダンスフェスティバ ル、10月フランス CNDC Angersにて招聘公演を行う。第37回(2005年度)舞踊批評家協会賞受賞。
サポート・コレオグラファ:鈴木ユキオ
photo by Shinji Kubo
どんな身体に出会えるのでしょう、室伏さんの求めることはとてもシンプルです、しかしそれがとても難しい。私自身、彼の求めるものを体現できているわけではありませんが、私の経験から、皆さんとキュレータとの通訳のような事が出来るかもしれません。個人的には、皆を黙らせてしまうような、独自の身体に出会えたら嬉しいですね。
鈴木ユキオ
【プロフィール】鈴木ユキオ(すずき ゆきお)
97年アスベスト館にて舞踏を始め、室伏鴻などの作品に参加。2000年より「金魚」として活動を開始。切実な身体を並べた、ドキュメンタリー的演出・振付方法が注目を集める。近年は横浜トリエンナーレでのパフォーマンスや、東京シティバレエ団ダンサーへの振付、「アジアダンス会議」参加など、振付家としての活動も幅広く展開。また、舞踏のメソッドを基礎にワークショップも実施。身体を丁寧に意識し、自分だけのダンスを作り出すプログラムを各地で開催している。03年STスポットよりラボアワード受賞。04年セゾン文化財団ネクストネクスト公演ファイナル参加。ガーディアンガーデン演劇フェスティバル公開審査会出場。05年トヨタコレオグラフィーアワードでオーディエンス賞受賞。05年度セッションハウスレジデンスアーティスト。07年京都芸術センター舞台芸術賞2007ノミネート。08年トヨタコレオグラフィーアワード「次代を担う振付家賞」受賞。
<「金魚」ホームページ>
【ラボ20とは】
「ラボ20」は、コンテンポラリーダンスにおける、若手作家の発掘・育成を目標としています。
第一線で活躍する方をキュレータに招き、オーディションによる出演者の選定、創作過程でのアドバイスなど、公演全体のデザインを依頼。毎回異なるキュレータを用いることで、ダンス表現の一傾向に偏ることなく、新しい作家を輩出し続けています。(過去のキュレータ:伊藤キム、山田うん、岡田利規、桜井圭介、他)
ショーケース公演の増加に伴い、発表の機会を得ることは以前より増えたものの、その後、単独公演を実施するまでにいたる作家の数はごく限られています。本企画では、新たな才能の発掘のみにとどまることなく、次のステップに進むための基盤固めの役割こそが必要だと考えます。
20回目を迎える今回、「ラボ20」の役割をもう一度見直し、より創作過程に密着し、劇場ならではの「場の提供」、また人的支援のもと、実施いたします。
今、この日本で、踊る事の意味とは、「踊り」とは何なのかといった根源的問題についても同時に考えて行きたいと考えます。