部屋と演劇 vol.1 協力

2023年8月24日(木)

パッ  ワッ  サッ
(と作って) (とやって)  (と帰る)

『部屋と演劇』は「パッ(と作って)ワッ(とやって)サッ(と帰る)」というスローガンのもと集まって取り組む試演会です。
昨年6月にお試しで実施した『部屋と演劇』vol.0では、一人の俳優と三人の演出家でそれぞれ三つの作品を計二日間で創作し、京都のSocial Kitchenで上演しました。
今年は中村大地、野村眞人、福井裕孝がそれぞれ演出を務める作品の創作にご参加いただける方を募集して開催します。
真夏のSTスポットで、それぞれの実験にぜひお立会いください。

ある時から、モノローグが一切できなくなった。もともとはモノローグというか、客席に話しかけてばかりいたのに。客席に向かって語りかけるときの暴力性みたいなものとどうも折り合いをつけることができなかったからだ。『父の死と夜ノ森』をやったときに、長台詞を1人喋るシーンに、セリフはないのだけれど聞く人を置いたら、ぐっと聞きやすくなった。そこから、もう一度1人語りについて考えてみたい。[中村大地]

演出家です。普段は、レトロニムというチームで上演作品や展示作品を作ったり、自分では病院やお墓などにフィールドワークに出かけてパフォーマンス作品を作ったりしています。今回の『部屋と演劇』という試演会でも、普段の関心から外れることはしませんが、作り方や発表の仕方は変えてみようと思っています。
「部屋と演劇」というのはこの集まり自体の名前でもあって、定期的に集まってはお互いの近況を報告しあったり、沖縄にお土産を買いに行ったり、ポッドキャストの配信をしたりしてきました。その中で、それらの取り組みと同じような感覚で、上演にももっと取り組みたいという思いが強くなってきました。なぜなら、僕は演出家だから、というただそれだけの理由ですが、ただそれだけの理由がとても大切なんじゃないかと思っています。
なので、今回の試演会では、テキストを読んでもらうというただそれだけのことをとことん面白がってみようと思っています。どんなテキストかというと、現在構想しているのは、街の中で孤独を感じやすい場所について自分で書いてみようかなと思っています。実はテキスト書くのは初めてで緊張もしますが、それもありかなと思っています。[野村眞人]

「パッ ワッ サッ」というスローガンのうち自分にとってもっとも大切なのは、最後の「サッ」、つまり帰ることの心構えです。反省はほどほどに「サッ」と撤収して家路につき、適当に腹を満たし、風呂に入り、歯を磨き、明日の支度を済ませ、寝、朝になったら起きる。「ワッ」のにぎわいから持ち帰ったものを日々の暮らしのなかに馴染ませ、その経験の上にまた今日を生きる。「パッ」にせよ「ワッ」にせよ、演劇は常に集まって、作って、演って、帰るものです。何をやるのかは何も決まっていませんが、この一連のプロセスについて考える二日間になればいいなと思っています。 [福井裕孝]


本企画の出演者を募集します。(出演者募集は締め切りました)

内容:
・各演出家が、俳優1名と一緒につくる。
・リハーサル各1日、本番1日でやる。

演出:
中村大地
野村眞人
福井裕孝

出演:
[中村作品]佐藤桃子 橋本清
[野村作品]永瀬安美 藤家矢麻刀
[福井作品]中川友香 南風盛もえ

日時:8月24日(木)14:30/19:30(全2回)
※開場は開演の20分前です。
※上演時間は約80分になると思います。
※当日は映像の記録撮影が入ります。あらかじめご了承ください。

料金:1,500円(要事前予約・当日精算)
※できるだけお釣りの要らないようご協力お願いします。

予約:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe_KHUDrkRn7ZLctAgo8mgqqbcL4WFTdDd9textwG_CtvhSeQ/viewform

主催:部屋と演劇
企画協力:STスポット

お問合わせ:heyatoengeki[a]gmail.com
※送信する際は[a]→ @ にご変更ください。


プロフィール
部屋と演劇 :
普段演出家としてそれぞれ活動している中村大地(屋根裏ハイツ)、野村眞人(レトロニム)、福井裕孝の三人が、上演が行われる空間、環境との関わりについての問題意識や関心を共有するため、2019年ごろから定期的に集まっている。2019年度は、東京・三鷹SCOOLを会場にそれぞれの作品を連続上演。上演が行われる空間を「部屋(=天井・壁・床によって物理的に規定された領域)」と見ることで、制度化された劇場空間から脱し、日常の「平凡」な視線を導入すること、その上で構想された上演を丁寧に立ち上がらせることを目指した。

中村大地(なかむら・だいち):
劇作家、演出家。1991年東京都生まれ。東北大学文学部卒。在学中に劇団「屋根裏ハイツ」を旗揚げし、8年間仙台を拠点に活動。2018年より東京に在住。人が生き抜くために必要な「役立つ演劇」を志向する。『ここは出口ではない』で第2回人間座「田畑実戯曲賞」を受賞。「利賀演劇人コンクール2019」ではチェーホフ『桜の園』を上演し、観客賞受賞、優秀演出家賞一席となる。近年は小説の執筆など活動の幅を広げている。一般社団法人NOOKメンバー。2020年度ACY-U39アーティストフェローシップ。
https://yaneuraheights.net

野村眞人(のむら・まさと):
レトロニムの演出家。京都を拠点とする。演劇は引用可能な制度であると考え、ひとの精神のありようや経験をモチーフとする作品を劇場内外で制作している。こまばアゴラ演出家コンクール2018最終上演審査選出、利賀演劇人コンクール2018観客賞、優秀演出家賞受賞。大森靖子ファンクラブ会員。また、俳優として村川拓也演出作品や庭劇団ペニノなどに参加し、国内外での出演経験多数。
https://theatre-sokudo.jimdofree.com

福井裕孝(ふくい・ひろたか):
1996年京都生まれ。演出家。人・もの・空間の関係を演劇的な技法を用いて再編し、その場の状況を異なる複数のスケールやパースペクティブから再提示する。近作に『インテリア』(2018,2020)、『シアター・マテリアル』(2020)、『デスクトップ・シアター』(2021)など。下北ウェーブ2019選出。公益財団法人クマ財団クリエイター奨学金第二期生。ロームシアター京都×京都芸術センターU35創造支援プログラム“KIPPU”選出。2022年度よりTHEATRE E9 KYOTOアソシエイトアーティスト。
https://www.fukuihirotaka.com

佐藤桃子(さとう・ももこ):
1997年4月21日生。東京に住む。ことしの梅雨ごろより、関かおりPUNCTUMUNのメンバーになる。鴻陵座、アナログスイッチ、大橋可也&ダンサーズ、マームとジプシー、バストリオなどの作品に参加している。

橋本 清(はしもと・きよし)(ブルーノプロデュース、y/n):
1988年生まれ。演出家/俳優。日本大学芸術学部演劇学科演出コース卒業。在学中にブルーノプロデュースを設立。2012〜15年、坂あがりスカラシップ対象者。近年の演出作品に青年団リンク キュイ 『景観の邪魔』(2019)。これまでに生西康典、小田尚稔、カゲヤマ気象台、田中功起、得地弘基、ミヤギフトシ、和田華子等の作品に出演。2019年からは批評家・ドラマトゥルクの山﨑健太とともにy/nとして舞台作品を発表。

永瀬安美(ながせ・やすみ):
俳優、愛知県出身。思春期に天野有恒氏に師事。その後上京し、日本大学芸術学部演劇学科演劇コースを卒業する。劇場内での活動にこだわらず、イマージブシアターやコミュニケーション教育の現場にも携わる。最近携わった作品は、CCS/SC 『夜を治めるもの《ナイトドミナント》』、冨士山アネット『united me』、お布団『ザ・キャラクタリスティックス/シンダー・オブ・プロメテウス』など。

藤家矢麻刀(ふじいえ・やまと):
藤家矢麻刀と申します。神奈川県川崎市で生まれ育ちました。小学校5年生の時に父を亡くし、大学で演劇に出会いました。現在は東京で暮らして、周囲の人の支えを受けて生活しています。ヒップホップが好きです。僕の部屋は一戸建て借家の二階にあります。夏アチチの冬ガクブルです。
すぐに忘れてしまうけど確かに起こっていた物事を、身体を通して置いていきたいです。STスポットでパッとやって夏、よろしくお願いします。

中川友香(なかがわ・ゆか):
1999年、松本生まれ。俳優。主な出演作に、関田育子「浜梨」、『きみの面影をいまだ夢みる』『ひかりのなかでよむ』(監督:篠崎誠)、オル太「ニッポン・イデオロギー(仮)」、新聞家「とりで」、ロームシアター京都レパートリー作品「文化センターの危機」(作・演出:松田正隆)、「Slopes」(MV、監督:壷井濯)など。
https://yukanakagawa.com

南風盛もえ(はえもり・もえ):
俳優。沖縄県生まれ育ち。京都造形芸術大学舞台芸術学科卒業。こまばアゴラ演劇学校“無隣館”3期生修了後、2019年劇団青年団に入団。

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