劇場

STスポット館長就任のご挨拶

2016年4月01日

2016年4月1日より、佐藤泰紀がSTスポット館長に就任いたしました。
就任にあたってのご挨拶を掲載しましたので、ぜひご覧ください。

NPO法人STスポット横浜


この度、2016年4月1日より館長を勤めることになりました、佐藤泰紀と申します。
私は2008年から2011年までSTスポットの職員として働いておりました。
数年離れていたとはいえ、劇場とは何か、舞台芸術とは何か、という問いを考えるとき、
常にこの劇場のことを頭の片隅に浮かべていたように思います。
昨年の秋頃、館長就任の依頼を受けた際、思い出した言葉がありました。


「危ういのが好き、縁にキワドくさらされたカラダが好き。
脆さとメタモルフォーズの、ふるえる境界で闘っているヒトが好き。
そして他へと接続する野蛮で繊細な意志の、断面が好き。
抵抗と惑乱。奇妙な、滑稽で悲惨なエレガンス。
とは言いつつ、あらゆる先入見を捨てて<生成する無垢の出来事>に立ち会いたいと思います。
ワンダー、それが(ダンスの)幸運です。」


これは昨年急逝された室伏鴻氏が、2008年の「ST Spot ラボ20 #20 Restart」に寄せたものです。
「ラボ20」はコンテンポラリーダンスの事業でしたが、この言葉はダンスだけではなく舞台芸術全般、
そして室伏氏からSTスポットへのメッセージだったのではないかと、今改めて感じております。

STスポットは2017年に30周年を迎えます。
どんな色にも染めることができるこの白い壁の、30年という長い/短いような時間が堆積したこの場所で、
これからどのような舞台を観ることができるのでしょうか。
私は私に何ができるのか、ということにあまり興味がありませんが、
この場所で観る何かがとても楽しみでしかたがありません。
これまでこの劇場に関わって頂いた全ての方々に感謝を。
そしてこれまでに出会った方々はもちろんのこと、これから出会える全ての方々と、
この場所からあらゆる先入見を捨てて<生成する無垢の出来事>を、
そして<ワンダー>を探していければと思います。
これからも一層のご協力、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2016年4月1日
STスポット館長 佐藤泰紀

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