劇場
ラボ20#24 参加アーティスト決定
2024年9月06日
43組にご応募いただき、書類選考・オーディションを経て、以下の4組に「ラボ20#24」にご参加いただくこととなりました。
AttanT(青柳潤・大西優里亜)
天野朝陽
遠藤七海
オフィスマウンテン
各アーティストのプロフィールと、キュレーター康本雅子による選評を掲載いたします。
「ラボ20#24」は11月23(土/祝)に中間発表、
2025年2月27日(木)-3月1日(土)に最終発表と続きます。
今後の展開にも引き続きご注目いただけたら幸いです!
【参加アーティスト プロフィール】
AttanT(青柳潤・大西優里亜)
大西は2023年に、ヨコハマダンスコレクションコンペティションⅡにファイナリストとして選出され、ソロ作品を出展。
2024年より自身のプロジェクトである「SR/Yuria Onishi」を設立。「エンターテイメントとアート作品の融合」をテーマに、空間に対する演者と観客の関係性に着目した、劇場空間の一体化を目指した作品を展開する。
青柳は、アート表現においてダンスを選択している理由を意識しつつ、観客に見方の選択を残すような作品を目指す。2021年から創作活動を始め、2023年には自身の主宰団体となる「がらんどう」を設立。過去2回にわたって自主公演を主催。2024年豊岡演劇祭にて団体初の外部公演として作品を出展。
天野朝陽
10歳からHIPHOPダンスを始め、ジャズ、フリースタイル、POPPIN、KRUMP、アニメーションなどを経験した後、コンテンポラリーダンスと出会う。
その後、自作品が国内のダンスコンペで様々な賞を受賞し、数多くの振付家の舞台や映像作品等に出演。
近年では、失いかけている”陰翳”や”余白”を重んじる日本的美意識に、現代アートの世界観や、ストリートダンスの即興性やグルーヴを融合した踊りを探求している。
(撮影:松下萌)
遠藤七海
東京生まれ、東京育ち、実家暮らし。小学生でダンスを始め、中高時代に演劇、大学でコンテンポラリーダンスに出会う。立教大学現代心理学部映像身体学科卒。日常の振り付けられた身体に着目し、最近は調理や飲食を伴うパフォーマンスを積極的に行う。ラボ20 #23ではダンサー杉本音音とのユニットNe Na labとして『柳葉魚を飠べるからだ』を発表。
そのほか、舞台芸術の企画制作、間借りカレー屋「コオドリ」、サンドイッチから恋愛観と向き合うコレクティブSandwich Archives、クリエイティブスペースYuuragi.コミュニティマネージャーなど、アートと食の観点から幅広くコミュニケーションを模索している。
(撮影:あいにゃ)
オフィスマウンテン
オフィスマウンテンは現在『トリオの踊り』(作・山縣太一)という戯曲を使って上演に向けての稽古を行なっています。その稽古場に出入りしている20名弱のメンバーのうちの有志が集まり、今回このラボ20#24に応募しました。「ダンス」について個々人の考えはバラバラですが、言葉と身体の関係について考え、トライすることを通して「ダンス」について考えたいです。
【キュレーター 康本雅子による選評】
オーディション総評
書類選考で通った30作品を見させて頂き(全部での応募は43)、それぞれの方と短い時間ながら話も出来て良かったです。
そこにある筈のダンスを見つけようと必死こいて見ました。
演劇の方からの応募が多かったのが印象的で、多種多様な作品の中から何を基準に選ぶのか、選ぶという行為の危うさや矛盾さを感じながらも、「ラボ20」の意図も踏まえつつ以下の視点を重視しました。
*その作品はダンスでもって創る必要があるのか(他の媒体ではなく)
*創る動機、踊る手法が自分の感覚や思考から生まれているか
*今後のクリエーションを経て作品がどう転ぶか分からんけども見てみたいという未知の期待を抱いたもの
*キュレーターや他の出演者達など、他者との意見交換を経てクリエーションすることが意味を成しそうな作品であるか
オーディションに参加いただいた皆さんと話す中で、そもそも何をもってダンスと言っているのか、その定義づけが自分も含めて気になりました。
勿論それぞれの解釈であっていいのですが、自明のもととなっているダンスを自分の中で改めて定義することは、作品を創る上で大事な指針となるんじゃないかと。
定義づけすることで可能性を狭めたくない、という考えもあると思うし、これが果たしてダンスと呼べるかは分からない、というボーダーをウロウロしながら創るのは全然アリ、どころか疑う視点は超ウェルカムなんですが、創ってる本人の「これをダンスとす。」という欲求がまずないことには作品がぼんやりしてしまうので、自分が何をもってダンスと言ってるのか一旦決めてみる、が大事かなと。
ダンスって何なんでしょね。
身体が動いていればダンスになっちゃうのか?
ダンスとダンスじゃない境界は1ミリでもその溝は深いです。
普段、こんなこといちいち考えません。
今回は皆さんのお陰で、ダンスとか身体とか創ること見せることについてグッタリする程考えさせられました。
他の方がキュレーターだったら通った方もいてるやろうし、そういう意味では通っても通らなくてもどぉってことないです。
創り続けるのみです。たぶん。
遠方からも来て下さって、ダンスを見せてくれて、話してくれて、本当にありがとうございました。
創り続けることが困難な私にとって、皆さんとの出会いは何というか、我が身を振り返り汗をかきます時間でした。
またどこかでお会いできますように、私も精進して参ります。
AttanT(青柳潤・大西優里亜)
何をやりたいのか一見分からなかった、けどもその分からなさを本人たちも分かっている、そして分かったフリをせずに
そのまんま出してきたという事はちゃんと分かった。
コンセプトありきで作品の完成を目指すというよりは、ダンスについて、創ることについて問い直したい、という姿勢に納得。
青柳さんと大西さんの、創り手としての課題が真逆だったのも含めてこの機会をとことん使い尽くしてくれそうな伸びしろも感じました。
何と言いますか‥蝶から青虫に戻った後、蛾になってパンチしまくる。くらいの変態を遂げて欲しいです。
天野朝陽
天野さんの出立ち、動き、選曲、小道具のバランス具合が良かった。どれも目立ちすぎず、立ってた。
見る前はコンセプトが大きくて若干不安になったけど、踊りを見たらちゃんと身体で喋ってたので少し安心した。
ダンスで対応できることを一旦見極めた上で、ダンサーとしての自分の資質を作品の中でどう使い尽くすのか、やり過ぎたり削ったりして計算間違えしたらいいと思う。
まとめるよりは、存分に遊び倒してみて下さい。
遠藤七海
さては遠藤さんのカコカコした作法のような動きに惹かれました。と同時に、この生真面目さを崩したらどういう風になるのだろうと、想像させる隙もありました。
生活の中から生まれた身の丈リアルなコンセプト、それを作品に落とし込む上での考察も独創的な視点があり、この先の展開を見届けたいと思いました。
オーディション時点での構成は説明的すぎるきらいはあったものの、これからどんどん変わりそう。変わりましょう。変わったれ!
オフィスマウンテン
正直このカンパニーを入れるか夜の夜まで悩みました。
既に演劇として成立しうる作品を敢えてダンス作品にする必要があるのか?
分からない、分からないけど演劇とダンスのボーダーがクロスしてる昨今においてその試みが、他の人たちにとってのダンスへの投げかけにも繋がるんじゃないか?と思いました。
「ダンスっぽい」を正真正銘の「ダンス」にする、0から1を産むより難しいかも知れないこの挑戦が皆さんに何をもたらすのか、期待するばかりです。
言うまでもなくこの2つは全くの別物で、すげー遠い。
戸惑いと、誤解と、容認と、願望と決定の狭間にぐちゃ丸覚悟で飛び込んでくれる6人だと、信じ、たい。
STスポット「ラボ20#24」
お問合せ:
[tel]045-325-0411(平日11時‐17時)
[mail]lab20(a)stspot.jp *(a)を@に変更の上、送信ください。