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2012.08.20

かえるP『老化のメカニズム』稽古場より

「かえるP」新作公演の稽古場に伺いました。

これまでにSTスポットで発表された作品では、ケチャップやプラレールなどのインパクトのあるビジュアルと、身体を追い詰めていくような振付が印象的でしたが、今回の作品の稽古を拝見したところ、より強い身体への意識が感じられ、そういったイメージが一新されました。

 

公演情報 http://stspot.jp/schedule/st25d-kaerup.html


  

これまでのかえるPの創作方法はどちらか一方が振付を行うものだったが、今回は共作という方法を選択したという。

 

大園「単独公演でそれぞれの作品を1回ずつ上演しての3回目ということで、ここで一度「かえるP」としての共作を創ろう、という気持ちがありました。かえるPでの活動も3年目になり、2人の方向性の違いが当初より明確になってきて、そこであえて共作に挑むことによって、ユニットとしての新たな可能性が見いだせるのではないかと思います。」

 

 

 

STスポットで発表された作品に限れば、『ケチャップ』のインタビューでは「時間」という言葉が1つのキーワードになっており、『ダイヤの乱れ』や今回の『老化のメカニズム』というタイトルも「時間」を感じせるところがある。

 

橋本「時間も重要な要素の一つですが、時を重ねる事でできる集積物のようなものにこだわっていて、生き物としての私たちの実感を積み重ねた結果、どういう景色が見えてくるのか。その集積の結果が今回のタイトルにつながって行くと思っています。」

 

 

 

この「生き物」という点に関しては、冒頭で述べたように稽古の様子から身体への意識やこだわりが強く感じられた。その点についても伺った。

 

橋本「身体の強さを伴ったダンス作品を作りたい。単純な動作をモチーフにしつつも、細かいディティールを疎かにせず、よりシンプルに身体と向き合って表現できるところを日々探っています。」

 

大園5月に行った、出演者を探すことや作品のリサーチとして行ったWSがとても良い経験になりました。様々な年齢層の方が参加してくださり、普段の活動の中では接することのない色々な身体の在り様に出会えたことは、今回の作品に取り組む上で非常に重要な要素のひとつになっています。」

 

 

 

新たな関わりや身体の見せ方では、今回は衣装に専門のスタッフを呼んでいることもポイントになるだろう。

 

大園「今回は衣裳のプランニングを小暮史人さんにお願いしています。彼のブランド【design complicity】のモデルを僕がやらせて頂いたのが縁で、今回お願いしました。小暮さんは普段舞台衣裳をやっているわけではないのですが、作品に対する考え方、アプローチは独特のものがあります。毎回シンプルかつ変な提示をしてくれるので、どんなものが出来上がるか、僕ら自身も楽しみにしています。是非ダンサーの身にまとう衣装にも注目して欲しいです。」

 


※余談ですが、公演の題字は90歳のおじいさんの直筆のものを使用したとのこと。こちら、チラシ画像でもご覧いただけます。

その後、テクニカルスタッフとの打ち合わせにも参加いたしましたが、意見の飛び交う場であり、とてもいいチームで制作が進んでいるのだなという印象を受けました。

 

(これから)子どもから老人まで幅広く触れられる作品を作っていきたいという「かえるP」の最新作『老化のメカニズム』は8/30(木)から始まります。進化を続けるカンパニー、ぜひご注目ください。



 

かえるP[Kaeru-P]

桜美林大学を卒業した、大園康司と橋本規靖が主宰するダンスユニット。

"ダンスの根源"を探ることをテーマに、普段の生活に根ざしたことにこそダンスの身体の在り様があるのではないかと考え、日々作品創りをしている。

第一回コンドルズ振付コンペディションにてグランプリ受賞。

単独公演のみならず、STスポット主催「N.N.N.」、吉祥寺シアター主催「ダンス・インパクト」に参加するなど、多様な活動を展開している。

また、大園・橋本それぞれ外部でもダンサー・振付家として活動を行っている。

 

Web http://kaeruppp.weebly.com

Youtube http://www.youtube.com/watch?v=c6ZciXh4d8w

     http://www.youtube.com/watch?v=sDPrNqhk350