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2012.07.27

【N.N.N.3】ピグマリオン効果インタビュー
毎回「あれっ」と思う応募が必ず1つはある。「映像資料、考えてるな」と思う応募も必ずある。
そういったものは何かどうしても気になって仕方がなくなる。
今回はそれが"ピグマリオン効果"だった。
グループとしての公演はこの企画が最初になりますが、このグループのことをぜひ目に留めて頂けたらと思います。群を抜いて若く、勢いがあります。



●ピグマリオン効果

武蔵野美術大学映像学科2年、女の子:男の子3:1で構成されたパフォーマンスユニット。

未知で、未熟で、白昼夢

本公演のために結成された全く違う個性たちの集合体

4人自身の持つ映像、音楽技術またシュールさを出し合いパフォーマンスを探る。


N.N.N.3について


4人が集まる

--初めましてですね。この企画に合わせてグループを結成されたということで、プロフィールは印象に残っています。

まずは、グループ結成までの流れを伺いたいと思います。

 

 

志村:言い出したのは私です。以前から(坂藤と)二人でダンスの映像を撮っていたりはしていましが、あまり外でダンスをやったことがなかったので「やってみようよ」と言う話になって。2人じゃ応募できないから、メンバー集めから始まりました。

早崎さんは器械体操やジャズダンスの経験があって、自分でやりたいことを持っていたので、「加恋踊ってよ~」って誘ったら「ええよ~」って言ってくれて。彼女と話したり活動したりするようになってから景色が広がったなと。今は緊張してるのかおとなしいですけど、普段はキャピってます。

 

 

早崎:キャピっとしてる!?

 

 

志村:キャピっとしてる!キャピっとしてる!

 

 

--あ~、これから話す中でポテンシャルを引き出していかないとダメですね(笑)。

それにしても「ええよ~」って言うのは即決だったんですか?

 

 

早崎:ぶっちゃけこんなことになるとは思ってなくて返事をしてしまいました。私は習っていた新体操も今やっているジャズダンスも技中心だったこともあって、今4人で作ろうとしているダンスは戸惑いがありましたが、今はこういう状況でもあるし頑張ろうって思ってます。

 

 

志村:最近は慣れてきた、かな?

 

 

早崎:なるようになれ、かな(笑)

 

 

--ありがとうございます。そして神谷さん、と。

神谷さんはプロフィールでバンドをやられているということを見たのですが、人前でやることは慣れているのも出るということに繋がったのでしょうか?

 

 

志村:早崎さんが加わって女性3人は集まったんですけど、あと1人入れたいとは思っていて。そこで女性をまた加えると女性4人になるんですが、それは何か違うなぁって思って、それに男性という要素も必要かなと思ったので、彼(神谷)を食堂でちょちょいと誘いました。

彼は中性的な面もあるし、バンドとかやっててリア充臭するような......

 

 

神谷:全然遊んでないけどね(笑)。元々目立ちたがり屋で、学校の発表会とかで笑わせたりするのが好きだったし、バンドもそうで、人前で何かするのが好きでした。

 

 

志村:それに彼は変な動きをしていて気になっていたんですよ。

 

 

神谷:キワモノみたいな感じね。

 

 

--その変な動きをしているって言うのは生活してる中ですか?それとも身体を使う授業とかそういうのですか?

 

 

志村:けっこう普段から。オーバーリアクションなんですよ。

 

 

神谷:あれは照れ隠しなんですよ。ちょっと離れたところに知り合いがいるときとか大きな声出すのは照れるし、かと言って無視はしたくないし、顔とかこうして(笑顔で首を突き出す動き)「どーも」みたいな。根暗だからコミュニケーションを過剰に取るしか無いんですよね。

 

 

志村:それが上手いというか、遠方からでも分かるんですよ。歩き方も独特だし。

 

 

神谷:それ(歩き方)は単に姿勢が悪いからだよ(笑)

 

 

志村:決め手になったのはデジタルドラマを作る授業があって、たまたま一緒になったときで。

 

 

神谷:言葉を身体の動きで表すという授業で。

 

 

志村:その時の動きが何かダンスっぽくて。これは使えるなというのと、この人なら3人の輪に入っても大丈夫なんじゃないかと。

稽古でも神谷くんは色々と意見を言ってくれて。出したり引っ込めたり。もっともっと押してくれていいんですけどね。引っ込めちゃうんですよ。

 

 

神谷:思春期ってことに(笑)。それに(ダンスで)何がいいも悪いも普通も普通じゃないも分かってないからね。

 

 

志村:だから、彼は彼の動きがあって面白いんですよね。

 

 

--ありがとうございます。志村さんと坂藤さんの話が飛んでしまいましたが、2人での活動など教えて頂ければ。

 

 

坂藤:中学では演劇をやっていて、高校の時に菅尾なぎささん(注1)のWSに参加してダンスも面白いなと思ってダンスを続けていきました。その後、映像も撮りたいなと思って、志村と...

 

 

志村:壮絶な...

 

 

神谷:幕開け...

 

 

志村:(坂藤)加菜ちゃんの誕生日がね。

 

 

坂藤:今話すと面白いことですけど、企画の応募のために冬に屋上で半袖で踊ったんですよ。

 

 

志村:しかもトラブルだらけで。屋上だったから、飛び降りだと思われて人が集まってきちゃって慌てて説明して撤収しました。挙げ句の果てに結局それは採用せずで。

 

 

坂藤:そういう辛さを乗り越えて今だよね。

 

 

--ありがとうございます(笑)。それでは志村さんお願いします。

 

 

志村:私は子供の頃にバレエと水泳をやっていて、バレエの先生に「筋肉の付き方が違うから(どちらかを)やめなさい」と言われて、バレエをやめちゃったんですよね。

そのあとは高校で創作ダンスを少しやっただけで、大学では学生演劇を見たのですが「アチャ~」と思って入る気にならなかったんですよね。

そのときにひょんなことからプリコグ(注2)の方と知り合って、色々な舞台作品を見た中で康本雅子さん(注3)に感銘を受けて。でも自分にはスキルがないから、スタジオに通ったりモダンダンスをやってる他大学のサークル(早稲田大学モダンダンスクラブ)に関わってみたりして。

その後に、映像も撮ろうということで坂藤とさっき話したように色々やって、もう一度パフォーマンスをしようということで、こういったことになっています。

今は、誰かが演出か決まっていなくて、4人が4人ともやりたいことや出来ることを持っているので、それを出し合って作っていったらどうなるか楽しみなところがあります。

 

 

 

・日常の中から動きを拾う

--ちなみに、どのくらいで応募資料作ったのですか?そのときの稽古の様子なども合わせて聞きたいです。

 

 

神谷:話はけっこう前からだったと思いますが......

 

 

志村:本当に巻きで作りました。いつもはお昼休みに集まっていたんですが。

 

 

神谷:一週間前くらいからだっけ。

 

 

坂藤:やんなきゃね~って。

 

 

志村:みんな焦らないと動かないのか分からないんですけど、「これやばいよ!」って呼びかけてやっと始まって。それが12週間前くらいで、本当に動くようになったのは23日前とか......。最後とかはみんないっちゃってよね(笑)

初めにあった構成とか振付はドンドン壊れていって、私が考えてこうしようというものにドンドン手を加えていって。みんな考えてから案を出すよりは「これいい!」「これいい!」っていうような感じでそこから叩いたり引き伸ばしたりして作っていったんですが、これはよかったなと思います。で、出来たのは前日とか。

 

 

神谷:ちゃんと間に合うか確認したもんね。

 

 

志村:これは遅れちゃダメなパターンだ!って思って。こういうことを言うのは迷いましたけどね(笑)

 

 

--昨年は選出された3組中2組が〆切ギリギリで映像を撮られてましたから(笑)

そういえば、志村さんと坂藤さんは以前からダンスの映像を作っていたという話でしたが、YOUTUBEに上げられていたもの(『一期一会の出会い』)でしょうか?あれも面白かったです。

 

 

志村:あれは(出演しているのが)私です。

初めは彼女(坂藤)を撮ろうと思っていたのですが、撮っても撮ってもピンとこなくて。ダンスを記録することをどうやって成り立たせるかにすごく悩みました。

 

 

坂藤:動画とダンスのという中で、カットと身体の動きを考えていくのが難しくて。

 

 

志村:用意されたところで踊るというよりかは、生活の一部に溶けこんで変な動きをすることがダンスに繋がると思っています。あの映像は自宅の食卓だったのですが、そういった日常の中にダンスがあるかなと。

空間に溶け込むというのがしっくりときました。

 

 

--今回の応募映像『からぶれかけて男の子女の子』も空間の選び方がとてもいいなと思って、そういったところでSTスポットの空間も面白く使ってくれそうだなと感じました。その中で坂藤さんがアップになるところ(7'55〜)も、とか。

それに、すごくキレイな映像でいいカメラなんだろうなって。

 

 

志村:そこ(カメラ)ですか!?

 

 

--ごめんなさい......稽古の方に話を戻しましょう!

 

 

志村:坂藤さんのシーンは見てくださった方々からも反響がありました。

稽古は、案を出して話しあって誰かが立ち上がって始まります。

 

 

神谷:昨日は広いホールだったのに案だけ出して......ね。

 

 

一同:笑

 

 

志村:でも、やっぱり初めにコミュニケーションを取ることを大事にしています。案を出すのも「こういうことがあった」というところから、面白そうなものを拾い上げています。

私たちは経験があるわけではないし、自分が過ごしている中での仕草を拾い上げる形がしっくりきます。そこで踊りにしていくのに「じゃあ振付を考えよう」と立ち上がります。

だから、コミュニケーションを大事にしています。

 

 

 

・今をさらけ出していく

--それでは、最後に今回の作品で見てもらいたいところなどを教えて頂ければ。

 

志村:作ってって出来たものが自分たちにまた影響するような感じで作っているので、うまいことやり切らないでさらけ出していく。グループなんですけど、それぞれの個性を見せたいです。

男の子とか女の子とか生活とか、そういうのから離れられない中で、そういうものが見せられたらいいなと思っています。

 

 

神谷:かっこ悪くなりたいね。

 

 

志村:なりたいね。私たちはまだまだ無知で、そういうものが残っている今できることを活かして、でも踊ることはしっかり見せたいです。

 

 

早崎:あとは若さを見せたいです。今作ってる段階だと若さがないので弾ける若さを。

 

 

--かっこ悪さと若さと、両方兼ね備えてるのは、あのプロフィール写真ですね笑(ページ左上から4枚目の写真:雨の中、屋外で練習着のままで撮影されており、目が光っている。)

 

 

志村:かっこよくはできなくて、これだっ!っていうのがあの写真でした。

 

 

--目が光ってるけど、けど、それがいいっていう。

次の稽古見せ、そして本番でどのようになっているか楽しみです。本日はありがとうございました。

 

 

注1 菅尾なぎさ:ダンサー・振付家。クリウィムバアニー主宰。

注2 (株)プリコグ:2003年設立。舞台芸術を中心とした企画制作とアーティストのマネージメントを行っている。

注3 康本雅子:ダンサー・振付家。