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まくらとジョーロインタビュー~流れの中の点々~


大学時代に出会い、卒業後に結成された岸洋子・石原晶子の2人によるデュオ "まくらとジョーロ"。共通点と相違点から表れる2人の距離と作品との関係を伺ってきました。


―稽古お疲れ様です。まずはまくらとジョーロというデュオが誕生した経緯についてお聞かせ下さい。

 

:大学が一緒で、それぞれ違う事をしていたのですが、制作を共にしたこともありました。私は踊る事はしていて、その後は働いていました。アッキー(石原)は...

 

石原:私はインスタレーション作品などを作っていました。運動神経が悪くてでもカラダに興味があって、今やらないと一生やれないと思って。超苦手だけど超憧れで。遠いものをやろうと。

 

:時々2人で会って話したり、機会があるときは踊ったり観に行ったりとか。それで、仕事やめた時に「じゃあ一緒にやってみようか」と。

 

―それぞれのバックグラウンドや卒業後の進路もバラバラですが、関係が続いて結成されたこのデュオで目指すものはどういった事でしょうか。

 

:2人で始めた時から1つのことを話していても解釈の角度が全く違ったりしていて、けれど世間話は盛り上がったりで、全然違うようで似た問題意識は持っている2人だと思います。踊る上では、2人が違う事が前提にあって...

 

石原:1つの場所を共有できるか、みたいな。最初から同じではなくて違うということがどれだけあったまま、1つの空間を作れるかということです。

 

―今の稽古でワンシーンだけ見させてもらったのですが、そういった2人の関係、距離や振付でそういったところは大事にされているという気がしました。

 

:基本的には、それぞれがどうしたいのっていうことではあります。

 

石原:それぞれのものをそのまま生かすということが、そのままの状態で見せるということではなく、異なるモノが入ってきて壊すことが出来て、それでも無くならないようなことがあって......。

 

―簡単にバランスを取ってしまうと......

 

石原:つまらなくなっちゃう。ただ、そこが難しいところでもあって、1つの場所にいると同じ方向に進んでいくことを安易にしてしまったり、逆に難しくしすぎたり、ニュートラルに在ることとは違うことになってしまうような気がする。最近はこれが面白いのかをカメラで撮りつつ見つつ探しています。

 

:今回の作品はいままでも何度か作ってきたけれど根本的なことは「あまり変わっていないな」という話はしているのですが、今までの2人の関係を俯瞰してみることが出来たらと思っています。

 

石原:それぞれの作品で動く動機というものがあって、それをもう一度持ってきて本当にそういう風に動けるのかということを捉え直して1つにしていっています。

 

―作品とは異なる、作品と作品の間にある時間が影響するものでしょうか。

 

石原:他のところ(場所や人)で感じることはかなり大きくて、それらがどのように残ってひとつずつ持ち帰ってくるのか。普段の生活も含めた帯の中にツンと「まくらとジョーロ」がある感じです。気になることの大元はあまり変わっていないと思いますが、それに対するアプローチがちょっとずつ変わっていっているので、その分は変わってきたなと思います。

 

―地点と地点というよりは帯状のようなもの、と。

 

石原:帯みたいな中にこっちもあればこっちもあるというような感じ。モノが1つになっていくというよりも、2個があるからその間が生まれて流動的な面白さが動き出すのではないかと。2つの間を行き来している中でズレている中で焦点をどう掴めるかを捉えたいと思っています。

 

―ということは、2人の間には重要な場所があるのかと思っていたんですが、もっと曖昧なものなのかと思い始めました。

 

:間合いなのかな、

 

石原:あっちがそう来たらこっちはこう動くよね、という関係の中にある順番と自分がやることも織り交ぜていくという感じですね。

 

―稽古では2人で話し合ったり言い合ったりしていましたが、作品ごとの作者などはどうなっていますか?

 

石原:言い合ったり言わせたりで分けてないですね。

 

:その時々で役割分担ではないですね。

 

石原:2人は別と考えて分けようとしたこともあったんですけど、1人と1人でもその1人の中にまた1つと1つ......と複雑なモノがあり、はっきり岸-石原という2人だけではない分け方があるのだなあと思って。その間はグレーにしたい。

 

:見てる人は面倒で分からないかも(笑)だからシンプルにするところはシンプルに。

 

石原:2人の関係性だけで作っていくと面白くなくなっちゃうから、あえて遠くのオープンな場に行ったり。近いところ、遠いところ、その行き来を押し進め続けられるか。それらの間にあるカラダ......。出会いの可能性を探りたいです。

 

―最後に公演に関して言いたいことありましたらお願いします。

 

:見に来て下さったら嬉しいですねぇ。

 

石原:うん。ありがとうございます。です。

 

―本日はありがとうございました。



[まくらとジョーロ/プロフィール]

20084月活動開始。東京のはじっこに住む岸洋子と横浜のはじっこに住む石原晶子2人による1年更新制デュオ。場所性と2人のズレをポイントに制作活動を行う。2008年「背中ロール」(STスポットラボ20#20アワード受賞)2009年「サキハジ」(廃校フェス)2010年「111」(ダンスが見たい!)「ポーズ」(We dance)その他、こどものための、もちはこびパフォーマンス「もび」や「ことのははくぶつかん」(世田谷文学館)でWSを行う。茶会、ライブハウス、公園、等にも出没。日常の中をウゴウゴする日々。


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