flep funce! インタビュー〜繋がる三者三様〜
いづみれいな、マノリツコによるユニット「flep funce!」今回はミラクルパッションズの畑中実が加わり3人による作品で参加されます。掛け合いや脱線で笑いっぱなしのインタビューになりましたが、その3人の関係性はグループや作品の面白さにも繋がっているように感じました。
(インタビュー・テキスト:佐藤亮太)
ギリギリでの応募
−よろしくお願いします。まず、結成の経緯についてお聞かせください。
いづみ:私が携わっていたアートプロジェクトのイベントにマノリツコを誘ったのがきっかけです。2009年ですね。
マノ:出会ったのはその半年前くらいで。
いづみ:今日の稽古場の主が共通の知り合いで。(マノリツコが)踊るイベントを観に行って一緒に踊りたいと思って声をかけたんですね。その年はユニット組むわけではなくちょくちょく踊ったりしていました。
その翌年の2010年にアサヒアートスクエアでミラクルパッションズの「地獄温泉」というイベントで、私たちは土佐有明さんと「墓場で運動会」というのをやったんですね。
−畑中さんと出会ったのはその時?
マノ:そのときは他の方々を見ることが出来なかったので、印象に残ったわけでもなくきっかけにはならず、ですね。
いづみ:その後、2人で「flep funce!」というユニット名を決めて活動し始めました。
マノ:で......あ、そうだ。締めるんじゃなくて。
−畑中さんですね笑
畑中:僕はflepfunce!ではないのですが。
いづみ:お手伝いさんというか。
マノ:サポートメンバーというか。
畑中:2人の踏み台みたいな感じですね。
−ゲストということで笑。
マノ:今年の3月にd-倉庫であったミラクルパッションズの公演を見て、彼の動きが面白くて。「能でアラレちゃん」というのがあって......ちょっとやってみて。
畑中:こう、アラレちゃんが両手を広げて「キーン!」ってするじゃないですか。あれを能っぽく「キ〜〜ン!」って。
※この様子はYoutube上にて「ミラクルパッションズ公演より『能でDr.スランプアラレちゃん』」にてご覧になれます。
マノ:役の一つ一つが全て丁寧で。誘いたいなってれいちゃん(いづみれいな)と話したりミラクルパッションズの方に連絡したりして。
畑中:
新宿の眼科画廊で2人のパフォーマンスは見ていたのでどんなことするのかは何となくイメージ出来ていましたし、面白そうだし、時間があったし。
元々ストリートダンスをやっていたので、こういうダンスをどういうプロセスで作っていくのかを知らなくて、メモ帳取り出して「こういうストーリーでいくから」って言われたときには面食らいました。でも、とにかく付いて行こうと。
マノ:ほぼ初対面でしたが、顔合わせをして「一緒にやるか」みたいな感じで。さいたま芸術劇場のBMJ国際ダンス映像祭に応募する作品を作り。あれでだいぶ慣れたんじゃないかと。
でも「そんなに考えないでやるんですねぇ」とか言われて。そのときは私たちにしてはすごい計画立てたのに。
畑中:スケジュールは立ってるんですけど、その通り何一つ進まないんですよ!
3人:爆笑
畑中;逆にそういう決まりきらなさや場に入ってから考えることが、偶然とか必然とかに繋がるようなところが、2人の面白さですね。
いづみ:ありがとう!基本、決めないでそこに行って"何が楽しいか"を探していくようにしています!
で、その撮影は3月で。
−そこからだと今回の応募は大変だったのではないですか?
いづみ:N.N.N.2は2月の末くらいには知っていたのですが、震災があり遅れてしまい改めてどうするかっていう状態だったのですが、畑中くんも引き受けてくれたので。
マノ:予定が合わなかったら無理でしたね。それでも練習できる場所がなくて、有難いことにここをお借りすることが出来たのですが、3月でまだ冷える中、暖めるものも殆ど無く。
いづみ:夜通しやって。
マノ:夕方集まって夜に撮影を終える予定だったのですが、朝までになってしまって。途中できつくて毛布に包まったりして。だからあの映像は奇跡の映像で、あれが最後の体力だったんですよ。
いづみ:絶対にもうやりたくない!っていう最後の集中力。
マノ:そのときに撮らないともう3人が集まれる日もなくて。
畑中:これを送ったときに完全に終わった感ありましたよね。
一同:爆笑
畑中:ここまででお終いだなって。
いづみ:3人でいつかやれたらいいなって笑
必然と偶然
−それが大変面白い映像でして、ここから作品について伺っていきたいと思います。
これは私の印象なのですが、空間と人間が相互に作用しているような印象を受けまして、動き出すきっかけに興味をもちました。
いづみ:けっこうカッチリ決めてますね。
マノ:それぞれ動きながらタイミングを合わせていったというのがありますね。
いづみ:出会うことは必然で、出会ってから起きることは偶然でやっていこうと決めて。その上にストーリーを重ねていってます。
マノ:畑中君はそういう隙間を埋めていく作業がとてもうまくて。決められていることの間を繋いでいくとどんな面白いことが起こるのかなと。相手が何を出してくるか、その反応と反応のやりあいが面白いです。
いづみ:その先の決まっているところに向かわなくてはいけなくて、偶然だけど必然で動いていかなくてはならないことを実験的にしていきたいです。
−そこでマイム的な動きもあるのですが、抽象化した動きになっていたりコンタクトの動きとの兼ね合いもあったりしていて、体の状態をどこに持っていこうとするか意識の違いがあるのかなと。
いづみ:流れを重視ですね。先ほど言ったことになりますが、偶然と必然の上にストーリーがあるのでそれに沿って行くように。
マノ:2対1の構成になるときは勝手に決めてますね。自分の中で次への意識を持ちつつ、そこに他の2人の動きを見たり感じたりしながらバランスを考えていますね。
踊る場所
−今作について一段落しましたので話は変わるのですが、グループ、ユニットとしての方向性などお聞かせください。
マノ:最近では色々な方の繋がりで、ライブイベントでもflep funce!の時間で踊らせてもらったり、ショピンというバンドのPVの振付・出演などをさせてもらったり、そういう場を提供してくださる方がいてありがたいです。今、興味あるのはWSをしてみたいですね。
いづみ:具体的にはお持ち帰りダンスとか。まだざっくりとしてるんですけど、日常の中でできる踊りというか動きを持ち帰ってもらう、という。具体的なシーンから作っていくという。力まないで出来るダンスとか。
マノ:今までもそういった活動をされている方もいるのですが、音楽イベントに出た時に感じることでまだまだ身近ではないんですよね。でも、私たちの活動やそれを見て自分の体に興味をもってくれたりするもともあるのでやりたいなと。
様々な人の動きを見てみたいという気持ちと、そういう面白さを広げていきたいなぁと。
いづみ:ダンスをダンスの場だけではなく。それは空間においてもで、例えばカフェだったりそういうところで、何ができるかって考えるのが楽しくて。
マノ:この前、ショピンのツアーに同行したときに、山梨の「わじあじあ」という雑貨屋さんでパフォーマンスしたりとか。
−STスポットはホワイトキューブのような空間ですが。
いづみ:まだ、そこは決まっていないところは多いですが、やっぱり空間を意識していきたいですね。
NNN2公演に向けて
−では、最後に一人一言ずつお願いいたします。
マノ:三人三様だなぁとは思います。見て欲しいところとは言えないかもしれませんが、グループの特徴としては。
いづみ:でも、どこかで繋がっているという、それは目指してるよね。
マノ:基本的にバラバラだけど自分勝手じゃないというところは忘れないでやりたいです。
いづみ:そのバランスかもしれないですね。キッチリやったほうがキレイなのか、やり過ぎるのもよくないなのか、でもバラバラすぎてもよくないし、個性的なところとのバランスなど。
出会っていくことに限定してとらわれたくないのですが、そのことを見せたいところはあります。
マノ:出会っていくものの違いによる体の変化は意識して作っていきたいですね。
いづみ:同じ3人だけどさっきの3人とは違う空気や空間になっているとか。あとは気楽に。
マノ:余白を残した感じで進めていかないとひとりよがりになってしまいそうなので慎重に進めていきたいですね。
畑中:一言ずつなのに、2人が交互に話していますね笑
いづみれいなとマノリツコにより2010年結成。2011年より畑中実(ミラクルパッションズ)も度々参加。
日々の重なりの中で起きる現象や行動より発掘した動きを『日々的ダンス』と名づけ、
生まれた作品も日常の中に返して行くようなダンスを目指す。
2010年に新宿眼科画廊にて初の公演『プカポコバザール』を発表。同年夏、ロバの音楽座主催、ロバの学校へゲスト参加。
またジャンル問わずライブイベントへの出演も多数。イベントの趣旨や会場の雰囲気から作品をつくり出す。最近では、PV出演と振り付け(ショピン『ずんば』)、ワークショップ実施などでも活動中。
今後も、身体の可能性を探り続けるとともにダンスをダンスの場だけのものにしない活動をしていく。