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木ノ下歌舞伎〈京都×横浜プロジェクト2011〉『夏祭浪花鑑』

2011年12月16日(金)〜19日(月)
歌舞伎の伝統的な演目でありながら、串田和美と中村勘三郎の新演出によって「新しい歌舞伎」の姿を象徴した記念碑的演目としても語られる本作に、木ノ下歌舞伎が全く新しい視点を持って挑みます。演出は、おもに関東で活躍する新進気鋭の振付家・演出家の白神ももこ。小さな仕草や動作をも膨らまし、振りに昇華してしまうその繊細な手腕は、歌舞伎と現代演劇の間の身体性の溝に新たな架け橋を築いてくれるに違いありません。美術は、前作『勧進帳』の演出・美術を担当した杉原邦生。全体の監修と補綴は主宰の木ノ下裕一。二都市を巻き込んだ「京都×横浜プロジェクト」が三者のタッグによってパワーアップし、新たな作品を生み出します。

演出|白神ももこ[モモンガ・コンプレックス] 

監修・補綴|木ノ下裕一  美術|杉原邦生


出演|楠 海緒/重岡 漠(青年団)/関 亜弓/殿井 歩/富松 悠/

   松尾 恵美/連 木綿子


日程|20101216日(金)〜19日(月)

16日(金)19:30 ご予約予定枚数終了

17日(土)15:0019:00 ご予約予定枚数終了

18日(日)15:00 19:00 ご予約予定枚数終了

19日(月)15:00 ご予約予定枚数終了

※ご予約のお引換及び当日券の販売は開演の30分前、開場は開演の20分前よ

 り。

※STスポットでのチケット取り扱いは終了致しました。

 残席数、当日券情報は下記の木ノ下歌舞伎までお問合せください。


チケット20111029日(土)発売開始

 料金【日時指定・入場整理番号付き・自由席】

  前売 一般¥2,500 学生¥2,000

  当日 一般¥2,800 学生¥2,300

 取り扱い ※ご予約は各公演日の2日前まで承ります。

  木ノ下歌舞伎ウェブサイト

  STスポット 予約フォーム 045-325-0411


お問合せ木ノ下歌舞伎

 Web:http://kinoshita-kabuki.org/

 Mail:info@kinoshita-kabuki.org

 Tel:090-6064-3209(担当:ホンゴウ)


照明|魚森理恵 音響|齋藤学 衣装|島本淳一

舞台監督|大鹿展明 制作|本郷麻衣

特別協力|急な坂スタジオ 共催|NPO法人STスポット横浜

京都芸術センター制作支援事業

助成|財団法人アサヒビール芸術文化財団 芸術文化振興基金

企画・製作・主催|木ノ下歌舞伎


【しなやかにえぐり出す】

 祭囃子はいつしか人々の怒号に変わる。脊髄に響く三味線と足拍子の音。男が捕り手たちを蹴散らしながら、屋根から屋根へと蚤のように飛び移り逃亡していく--。文楽の『夏祭浪花鑑』を観ていた私は、ふと不思議な感覚に囚われた。この演目の魅力は様式美にあるとよく言われる。そして全編、男のドラマであるかのように見える。しかし私が、その時感じたのはそんな勇壮さではなく、社会に居場所を見出せなかった人間たちの「その無様さ、もの哀しさ」であった。そう、古典演劇には決して〈様式美〉などの言葉で片付けてはいけない、不特定多数の〈人の声〉が入り乱れて渦巻く、坩堝(るつぼ)のようなものが存在するのだ。この時、私はこの演目を上演する決心が着いた。

 白神ももこ氏の、モチーフに対する批評的な眼と丁寧なアプローチ。くだらなさと洒脱さが絶妙のバランスで共存するディテールの積み重ねの果てにあっと驚く「大いなる世界観」を展開させるその手品のような〈しなやかな手つき〉。彼女が古典の深奥から響く〈声〉に耳を傾け、現代の安直な歌舞伎観が切り捨ててしまっている可能性をえぐり出して、蘇生させてくれるに違いない。そしてその時、私たちは生々しく古典が現代社会に語りかける〈声なき声〉を聴くことになるだろう。そしてそれこそが、現代(いま)、古典を上演する確固たる意義を見出すことに他ならないのだ。

木ノ下裕一[木ノ下歌舞伎主宰]


【あらすじ】

夏の住吉神社の鳥居前で、大鳥佐賀右衛門の家来を傷つけて入牢していた魚屋、団七九郎兵衛が釈放になる。女房お梶と子供市松、老侠客の三婦が迎えにくる。そこに現れた恋仲の二人。佐賀右衛門に付狙われる団七の旧主玉島磯之丞と恋人琴浦を、三婦と団七が救う。三婦の家に預けられた磯之丞と琴浦に目をつけたのは団七の義理の父にあたる舅の義平次。琴浦に横恋慕している佐賀右衛門に取り入って、こっそり彼女を誘拐する。それを知った団七は慌てて後を追い、ようよう追い詰めるが、義平次はなかなか琴浦を渡そうとしないばかりか、挑発してくる始末。怒りを堪えきれなくなった団七は、親殺しは大罪と知りつつ、義平次を殺し、泥沼に沈めてしまう。その罪は、すぐに露見し、彼は役人に追われ、大坂の町から逃亡する。


【関連企画】

アーカイブはこちら →http://stspot.jp/finished/20111124.html

全ステージ終演後、トーク有り!

急な坂ゼミナール特別編『木ノ下歌舞伎塾』

主宰の木ノ下が『夏祭浪花鑑』の歴史性と現代性まで私見を交えて余すところなく語り尽くします。

木ノ下歌舞伎の瓦版。201111月中旬より配布開始!

木ノ下裕一の『夏祭浪花鑑』ガイダンス、音声配信!

 配信日:20111127

白神ももこの『夏祭音頭』UST配信!

 配信日:20111123


【プロフィール】

木ノ下歌舞伎 歴史的な文脈を踏まえた上で現行の歌舞伎にとらわれず新たな切り口から歌舞伎の演目を上演する、木ノ下裕一と杉原邦生による団体。古典演劇と同時代の舞台芸術がどう相乗作用しうるかを探究し、新たな古典観と方法論を発信、ムーブメントの惹起を企図する。あらゆる視点から歌舞伎にアプローチするため、木ノ下裕一が指針を示しながら、さまざまな演出家による作品を上演するという体制で、京都を中心に 2006 年より活動を展開している。


白神ももこ[モモンガ・コンプレックス、鰰[hatahata]主宰/振付家・ダンサー] 無意味・無駄を積極的に取り入れユニークな空間を醸し出す振付・演出には定評があり、カンパニー活動の他にワークショップや演劇作品への振付など多方面で活躍中。主宰するモモンガ・コンプレックスでは、ダンス・パフォーマンス的グループと名づけて、ダンス?な活動を通して世界の端っこに焦点をあてる。