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【特集】20周年特別号寄稿文:中田宏 (横浜市長)|2008年7月

2008年7月08日(火)17:34アーカイブ

お祝いの言葉

 ビルの地下にある56平米の空間に、これほどの可能性が秘められていようとは、開設当時のだれが想像していたでしょうか。この空間には、チャレンジしようという若者たちの熱意が集まり、20年間変わらぬ泉として、みずみずしい表現の瞬間が、そこから生まれ続けてきたのです。

 横浜市の文化施策の中で、「先駆的」という言葉がこれほどふさわしい事業も他にないと思います。今、横浜ではアートNPOと行政との協働が進められていますが、STスポットは、まだNPOという概念すら一般的ではなかった20年前から、行政が施設を運営する方式ではなく、舞台芸術の表現者の側に立った運営ができるようにするために、市民団体による運営委員会方式を採用されました。以来、情熱を持ったスタッフによる柔軟かつ意欲的な運営がなされ、数々のアーティストがここから巣立つなど、NPO法人となられた今日まで数々の実績を築いてこられたのです。

 若手劇団やダンスカンパニーにとって、STスポットは、単に場所を提供するだけではなく、公演を行うにあたってのきめ細かいアドバイスをもらえる、頼りになる存在だと伺っています。STスポットでは多くの新進のアーティストが活動を行ってこられましたが、それらの活動は、借り物ではない、横浜独自の文化を創造してきたと思います。また、劇場でありながら、コンパクトな空間であることから、出演者と観客の距離が非常に近く、アットホームな雰囲気があることもこの場所の大きな魅力となっています。

 近年は、横浜市が進める文化芸術創造都市づくりにも積極的に関わっていただき、創造界隈形成などに重要な役割を果たすとともに、施設運営の分野だけではなく、アート教育事業部が芸術文化教育プログラムでも多大の御尽力をされるなど、御活躍のフィールドを広げられ、横浜の文化施策の中心的担い手として、周囲の期待はますます大きくなっています。

 最後に、横浜の貴重な発信型の劇場として、また未来を夢見るアーティストのよりどころとして、今後のますますの御発展を心からお祈り申し上げ、お祝いの言葉とさせていただきます。

横浜市長 中田宏
※役職は2008年7月時点のものです。

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