<休み時間ワークショップ> 二人のめぐみ|ダンサー・振付家 #1 主催

2015年9月16日(水)

休み時間、どうする?

辺りには目的やテーマがたくさんある。忙しなく日々はすごせる。そうしなきゃいけない理由もある。何も決まっていない余白のような時間は、不安かもしれない。それは、まだ遠い先のような死や無を身体が察するからかもしれない。なにもすることのない身体が、ただある不思議。それとも、何も決まっていない不安は、自分の失敗を見たく(見られたく)ないからなのか。たぶん、そんな不安や余白、失敗をも身一つで受けとめつづけ、なお動く身体を表すダンサーは、儚く強い。

「休み時間」は誰かと誰かと私が、いつもの役割を忘れて、目的も決めずに話しながら、忘れていた視点を思い出すような時間になるといいなぁと始めました。ワークショップはその延長で、「二人のめぐみ」は神村恵さん、中村恩恵さん。どちらも、絵描きにとって惹かれるダンサー・振付家です。身体一つで空間を描き変えていく、その思考や表現の違い、ときにびっくりするような感覚を、参加するみんなと一緒に気楽に目撃したいと思います。

休み時間は何もしないのが一番かもしれませんが、ワークショップなので …まずは子供が休み時間におしゃべりするように、参加者と二人の振付家それぞれが話しはじめ、その会話からあがってくる何かを身体の動きへつなげたり、その動きについて、もういちど言葉で捉え直したり、まったく違うことへ脱線したり、どうすると休めるのかを想ったり、疲れたら休んだり… と、循環しながら過ごせるといいです。

そしてその循環が終わるとき、その日その時にしか生まれない、ひとつの休み時間の色が振付られるような気がしています。(泉イネ)

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「休み時間」

自らに課している多くの事柄から離れて「素」に戻る。
心身を鎮めて、澄んだ空間に命の触覚を差し伸ばす。
シンプルに、時に耳を傾ける。
次に為すべきことを全身で受け入れる。

そして、「休み時間」から立ち上がる。
(中村恩恵)

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休み時間についての箇条書き

1 「休み」っていうのは丸くて青くて呼び寄せることが難しくてべとべとしているものだとか、例えば説明できたら良いのだが、
それは難しい。実体があるのかないのか分からないようなものについて、なんで考えを巡らせなくてはならないのだろう。

2 自分がいったいどこに向かおうとしているのか明確に答えられないという時点で、現在私は休んでいることになるのかもしれない。

3 休むというのは生き物の特権だろうか?
  ウイルスが休む コップが休む 石が休む 家が休む 8月が休む 道路が休む ラジカセが休む 北極が休む 

4 考えても無駄なことを考えてみる、何の役にも立たないことをやってみる、というのは休みの一つの過ごし方だ。
  
5 休みを、過ごすのか、取るのか、作るのか、持つのか、挟むのか。

6 仕事や用事の間に休みを挟むのではなく、休みと休みでそれ以外のことを挟むのだ。

7 休みと休みでそれ以外のことを挟むことによって、本当は脈絡ないものが隣り合っているだけかもしれない身体というもの、行為というものの連続性を信じることができる。
 
8 挟まれて身動きが取れない時は、とりあえず腹に力を入れ、身をよじり、自分で自分にぶつかるように振動を起こしていくとよい。
(神村恵)

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ゲスト:神村恵(ダンサー、振付家)、中村恵恩(ダンサー、振付家)
企画:泉イネ(美術家、絵描き)
協力:STスポット
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日時:2015年9月16日(水)19:30〜21:30 ※開場は19:00
場所:STスポット(横浜市西区北幸1-11-15 横浜STビルB1)
定員:18人 参加費:1,500円(前日まで予約)/2,000円(当日)
予約:http://goo.gl/forms/SNvcllscqB

神村恵|Megumi Kamimura
ダンサー、振付家。2004年よりソロ作品を発表し始め、国内外の様々な場所でパフォーマンスを行う。2006年より、神村恵カンパニーとしても活動を開始。また、他のアーティストとの共同制作も精力的に行っている。2010年トヨタコレオグラフィーアワードファイナリスト。2014年4月、STスポットにてカンパニー作品「腹悶」を上演。物質としての体、感覚する主体としての体、何かを指し示す体、が交差する場としてダンスを立ち上げる方法論を探っている。

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中村恵恩|Megumi Nakamura
第17回ローザンヌ国際バレエコンクールにてプロフェッショナル賞を受賞後、モンテカルロバレエ団等を経て、1991~99年J・キリアン率いるネザーランド・ダンス・シアターに所属し活躍。退団後はオランダを拠点に活動し、2000年ソロ作品『Dream Window』でGolden Theater Prizeを受賞。2001年彩の国さいたま芸術劇場にて、キリアン振付『ブラックバード』上演、ニムラ舞踊賞受賞。2007年に日本へ活動の拠点を移した後はダンサーと振付家の活動を両立。Noism、Kバレエ、新国立バレエ団等の委嘱作品も多く手掛ける。また最近では『The Well-Tempered』、『時の庭』、新国立劇場にて『Shakespeare THE SONNETS』、KAAT神奈川芸術劇場にて『WHITE ROOM』を発表する等、首藤康之との創作活動も積極的に行っている。舞踊批評家協会新人賞、芸術選奨文部科学大臣賞、江口隆哉賞、横浜文化賞、服部智恵子賞等の受賞歴を持つ。
http://www.meguminakamura.com/

泉イネ|Ine Izumi
美術家、絵描き。絵とはあなたの見たい風景をテーマに、紙の上だけではなく、自分にとって描くこととは何かを問いながら表すと表さないの間を描く。主な個展に「空間の恋文」(CAPSULE, 2014)、「冬至の前 / 冬至 / 冬至の後と分けられた私はtaimatzの空間です」(taimatz, 2012)。他者との共同制作「And Zone」絵、ダンス、言葉のsession(ダンサー・美術批評との共同制作, 上野の森美術館ギャラリー, 2012)、2008年から綴っている制作「未完本姉妹二幕」。最近はある島に魅せられて、新たな風景を探そうと思いめぐらす日々。 
http://inneizumi.blogspot.jp

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