木ノ下歌舞伎〈京都×横浜プロジェクト2010〉 『勧進帳』 共催

2010年5月13日(木)-5月 17日(月)
木ノ下歌舞伎の主宰である木ノ下裕一が監修・補綴を務め、こまばアゴラ劇場が主催する舞台芸術フェスティバル〈サミット〉の
現・ディレクターでもある演出家・杉原邦生が演出と美術を担当します。これまでも木ノ下歌舞伎で多くのタッグを組んできた
2人が、横浜の地で作り上げる『勧進帳』。歌舞伎十八番の中で最も人気の演目がどんなフィルターを通して立ち現れるのか。
ご期待下さい。
監修・補綴|木ノ下裕一
演出・美術|杉原邦生
出演|亀島一徳(ロロ)
   重岡漠(青年団)
   清水久美子
   福原冠(国道五十八号戦線)
   John de Perczel(「空(UTSUBO)」)
照明|伊藤泰行
音響|髙橋真衣
衣裳|飯田裕幸
舞台監督|大畑豪次郎(MOKK)
宣伝美術|相模友士郎〈横浜ver.〉・天野史朗〈京都ver.〉
制作|本郷麻衣
日程|2010年5月13日(木)〜17日(月)
   5/13(木)20:00
   5/14(金)20:00
   5/15(土)15:00/19:00
   5/16(日)15:00
   5/17(月)15:00
 
※ご予約のお引換及び当日券の販売は開演の45分前、開場は開演の30分前より。
※アフタートーク開催予定。決定次第webにて情報公開予定。
 
料金(日時指定・自由席)|
  一般前売 2,500円  学生前売 2,200円
  一般当日 2,800円  学生当日 2,500円
★5/13(木)20:00の回は一般・学生共に2,000円でご覧頂けます。
 (当日券は一般・学生共に2,300円)
チケット取扱|
  木ノ下歌舞伎 http://kinoshita-kabuki.org/
         ticket@kinoshita-kabuki.org
  STスポット   045-325-0411
         mail@stspot.jp
特別協力|急な坂スタジオ
共催|NPO法人STスポット横浜
企画・製作・主催|木ノ下歌舞伎
【『勧進帳』あらすじ
】
源頼朝(みなもとのよりとも)の怒りを買った源義経(よしつね)一行が北陸を通って奥州へ逃げる際の加賀国、安宅(あたか)の関*1
での物語。義経一行は武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)を先頭に山伏(やまぶし)の姿で通り抜けようとするが、関守(せきもり)の
富樫左衛門(とがしさえもん)の元には既に義経一行が山伏姿であるという情報が届いていた。焼失した東大寺再建のため勧進*2を
行っていると弁慶が言うと、富樫は勧進帳*3を読むよう命じ・・・。
〈注釈〉

*1 安宅の関…減税の石川県小松市に位置する関所(交通の要所に設置された徴税や検問のための施設)のこと。

*2 勧進…寺院の建立や修繕などのために、信者や有志者を説きすすめてその費用を奉納させること。
*3 勧進帳…勧進の目的について書かれた巻物形式の趣意書。当然、ニセ山伏の弁慶は持っていない。
【木ノ下歌舞伎スペシャルWEBコンテンツ】
歌舞伎『勧進帳』完全コピーVer.稽古
「皮を剝ぐ。」
今回演出を担当する杉原氏が以前こんなことを云った。「変だよね―」。歌舞伎座で『勧進帳』を観た感想である。彼は上演中、観客の姿が
面白くてほとんど舞台に集中できなかったそうだ。全編眠り続ける客、食べることに熱中する客、喧嘩を始める客…千差万別の方々はなぜか
幕切れの見せ場、弁慶の飛び六法だけは食入るように見て、「勧進帳はやっぱりいい!」と口々に云って帰ったらしい。勿論そんなお客ばかり
ではなかっただろうが、私はこの話を聞いて、『勧進帳』という演目の、いや、歌舞伎が現在(いま)置かれている状況を象徴的に示していると
強く感じた。現代の歌舞伎界のおいて『勧進帳』が舞台にあがらない年はまずないだろう。異常に感じるほどの頻度で上演されている。しばしば
歌舞伎の親玉ように語られる演目である。舞台の中身あれこれよりも『勧進帳』を見たという事実が重要視される。そこで満足を得る。それらは全て、
かたちを変えず数百年間脈々を受け継がれてきたという〈幻想〉のもとに成り立っているのだ。そんな風潮が確かに在る。しかし、歴史的に見て
この演目は決してこのような短絡化された伝統の中にはなかった。時代の動きを敏感に感じながら、時に歌舞伎のアイデンティティを示すために、
時に近代における古典演劇の在り方を示すために、大胆に演出や解釈を変化させながら生き続けた演目なのだ。そこには常に、「わたしは古典と
現代をこう繋げる」という強い意志表示があった。『勧進帳』の現代性を探るとき、演目だけ見ても何もわからない。しかし、伝統演劇だから
面白いという幻想の皮を剝ぎ、現代においてこの演目がどう呼吸しうるかを考えることで、現行歌舞伎を取り巻く状況が批評化され、古典を
現代化することの必要性と可能性が立ち現れるはずである。
主宰・木ノ下裕一
【京都×横浜プロジェクト2010とは】
木ノ下歌舞伎が横浜はSTスポット、京都はアトリエ劇研を会場に、初の滞在制作に挑戦する2カ年継続プログラム。
2010年度は
木ノ下裕一と杉原邦生が横浜に2ヶ月間滞在し、現地でのオーディションにより選出された出演者と共に、作品を制作します。
翌2011年度は横浜を中心とした関東圏の演出家を京都に招聘し、同様に滞在製作を行います。
kamebakukuukanjohn
    亀島一徳(ロロ)    重岡漠(青年団)           清水久美子        福原冠(国道五十八号戦線)John de Perczel(空(UTSUBO))
kino
木ノ下裕一

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