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【特集】20周年特別号寄稿文:鈴木ユキオ(振付家/ダンサー)|2008年7月

2008年7月08日(火)16:26アーカイブ

20周年おめでとうございます。私自身は、ちょうど6年前にラボ20に参加させていただいたのが、最初です。
1回目は、ソロとして、山崎広太さんキュレータの時、2度目は、グループとして山下残さんキュレータの時。
踊り始めたのはもっと前ですが、実際いろいろな方にみていただける機会になったのは、このラボ20からだと思います。
そして山下残キュレータのときにラボアワードをいただき、その後いろいろなショーケースにも参加するようになりました。

ラボ20の特徴は、やはりキュレータの裁量が非常に大きいところだと思います。
キュレータによって選ばれる作品ががらりと変わってくる。それを見るのも楽しいですし、そのキュレータの特徴も再確認できます。
また、応募するダンサーにとっても、このキュレータに見てもらいたい、このキュレータなら自分を面白いと思ってくれるのではないか、などと参加する楽しみもあります。
ここしばらくはラボ20をやっていなかったようですが、またリニューアルされるということで、今後も楽しみにしております。
ふたたび多くのダンサーがここから生まれてくるような場になるとよいですね。

それと同時に、可能性のあるダンサーを継続的にバックアップもしていって欲しいと思います。
私の場合、その後ラボセレクション、創造者リミックス、などいくつかの企画に参加させていただきました。
様々な形で継続的な支援をしていただけるというのは、とても心強いですし、ダンサー側の、モチベーションの維持にもなります。

体力の無い最初の頃は、特に辛抱強く見守る期間も大切だと思いますし、今は次々新しいものが、出てきて、消えていくという、
消費のスタイルがどの分野でもみられますが、それと同時に継続して支えていくことも必要だと思います。
それによりダンサーの自覚も変化してきますし、成長できると思います。本当のものは、時間がかかるものですから。
もちろん当然そのような事は考えられていると思いますから、心配はいらないと思います。

今後もこの小さな空間からまだ見ぬ、得体の知れないものを世に放ってください。
そしてその目撃者になれる可能性を信じて横浜へ伺います。


筆者プロフィール
鈴木ユキオ(すずきゆきお)
’97年アスベスト館にて舞踏を始め、室伏鴻などの作品に参加。’00年より「金魚」として活動を開始。
切実な身体を並べた、ドキュメンタリー的演出・振付方法が注目を集める。 ’03年STスポットより「ラボアワード」受賞。
’07年京都芸術センター舞台芸術賞2007ノミネート。’08年トヨタコレオグラフィーアワードで「次代を担う振付家賞」受賞。
http://www.suzu3.com/

※プロフィールは2008年7月時点のものです。

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